ポルトガル人の感性や情感は歴史や風土とどうからみ合い、どう私を受け入れてくれるのだろうか。リスボンのファド酒場を終点とする旅であった。初めての国ポルトガルについては、ある程度自分なりのイメージはあったが、それとはかなり違う色合いの、鮮やかでカラフルなユニフォームを着たポルトガル航空のスチュワーデスが、腕時計を見せながら、間もなくファロですよと、教えてくれた。エンジン音が変わり機首が傾くころには、地中海のエメラルドグリーンが窓いっぱいになり、やがて飛行機は、午後の太陽を反射する白い家々をかすめるように、ファロ空港に着陸した。ファロは国際的なリゾート地として名を高めてきている。ポルトガル南部アルガルヴェ地方の玄関口といったところである。地中海に沿って、ファロから西の端のサン・ヴィセンテ岬にいたる迄には一三〇キロメートルにわたる美しい海岸線があり、この間いくつかのリゾート地や観光スポットが点在している。主なものをひろいあげても、東から、白砂のビーチが売物で、のどかな漁港のあるアルペフェリア。やや内陸部に入るが、城壁に囲まれた、かつてはムーア人に占領された町シルヴェス。さらに西へ進めば、天然の良港を持ちフェニキア人の時代から海洋交易の中心として栄えてきた、ラゴスがある。