特徴的なことといえば、お客様を「ゲスト」、指導員を「インストラクター」と呼ぶことです。ゲストの名前を呼ぶときも、どんなに若い方であれ、「君」づけや「さん」づけではなく「○○様」といいます。これはインストラクターに限らず、事務などの社員も同じです。「○○様、受付までお越しください」といった校内アナウンスを聞いて、「百貨店のようだ」と驚くゲストもいらっしゃいます。全国の教習所のなかには、指導員のことを「先生」と呼ばせるところが少なくありません。しかし私は、設立時から「先生」という呼び方を避けました。「先生」というと、どうしても「学校」を連想します。とくに私たちの世代の学校は、「先生」が絶対的権威で、「生徒」は絶対に逆らってはいけない、羊のような存在でした。世間では、自動車教習所について、「怖いところ」「教官がいばっているところ」とイメージする人が少なくありません。免許を取得した人から、「教習所では、教官に何度も怒鳴られた」「教習車に乗っているときは、いつもビクビクしていた」といった話もよく聞きます。そんな教習所は絶対につくりたくなかったのです。私は、教習所というのは、学校ではなく、サービス業の一種だと思っています。「運転技術を教える場所」ではなく、「ゲストが運転技術を習得するための、お手伝いをする場所」なのです。こちらはお金を払っていただく立場ですから、本来なら当然の発想でしょう。ですから、教習所側の都合を押しつけ、日曜日は休みとか、夜間教習はしないといったこともしません。とくに滞在型の場合、ゲストは一日も早く卒業して、家に帰りたいと思っています。日曜日を休みにすれば、それだけ帰る日が遅くなります。ゲストの都合を考えれば、日曜日も夜間も教習を行なうべきです。このような考え方は、私がかつて石見交通というサービス業で働いていたことが大きく影響しているでしょう。バスやタクシーの場合、日曜日に運行するのは当然です。ゲストの都合よりも、社員の都合を優先させることはありません。
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