ある大手塾の教師

2011.05.16

ある大手塾の教師は、小学校受験生を見ていて「二十人に一人の割合で、チック症状をはじめとして少し精神的・身体的におかしくなる子があらわれる」という。朝から晩まで一挙手一投足に親と教師の目が光り、一分一秒を争って勉強やスポーツに励まねばならない生活は、やはり五歳児にはかなりきついはずだ。受験のときにははっきりと症状としてあらわれなくても、子どもが思春期に入ったときに「お受験後遺症」とでも名づけられる症状が表面化すると警鐘を鳴らしたのが、『警告! 早期教育が危ない臨床現場からの報告』(高良聖編著日本評論社)である。早期教育とお受験を懸念する母親たちの関心をよび、地味な本のわりに版を重ねている。編・著者である臨床心理士のもとには、幼いころからおけいこごと漬けになり、お受験にふり回された挙げ句、十代になって引きこもりや家庭内暴力、拒食症などの症状を訴え、親に連れられて訪れる患者があとをたたない。その子どもたちに共通しているのが「成長を急がされた」こと。親が「子どものため」を思って、「もっと早く、もっと高く、もっと正確に」と励ましつづけてきた結果、思春期になって症状があらわれるのだと専門家は指摘している。お受験を経験した子どもの一人であるMさんを取材したとき、心から感心して「すごいねえ、えらいねえ」とほめるたびに、「いえ、私なんかたいしたことないです。私よりすごい人はいっぱいいます」とすぐに否定することに、私はひっかかっていた。謙遜しているのではなく、どうもMさんは本気で「私なんか」と思っているらしいからだ。頭のいいお嬢さんだと思うのに、「私、頭はよくないです」ときっぱりと否定する。「自信がない」というだけではすまされない、何か「確固とした自己否定感」があるのではないかという気がシロウトの私にもした。専門家によれば、この心理は「自己への不全感が身についてしまった結果」起こるものだという。どんなに勉強ができても、どれほどスポーツにすぐれていても、つねに「もっとできるはずだ」「まだまだ私なんかダメ」と思ってしまう。
(関連)
保育士専門学校選びのページ

保育士専門学校選びの裏情報

保育士専門学校選びのヒント