スーツの経済学

2011.06.18

ふだんいくらぐらいのスーツを買っていますか?ごくふつうに洋服屋でスーツを一着新調すれば、二十万円ほどでしょうか。面白いことに輸入ブランドのプレタポルテもほぼ同じくらいの値段なのです。一方、上手に探せば二万円でもれっきとしたスーツがあります。二十万円と二万円、いったいどこがどう違うのか。これは単純に品質の違いで片づけることはできません。量産と量販を徹底的に行えばかなり安くできます。逆に、一点ずつ丁寧に仕上げて、少量販売すれば限りなく高くなります。しかし、大切なことは、このような多様な価格帯のなかで、どのくらいの値段を選ぶべきか、という点でしょう。たとえば私自身は二万円スーツをそれなりに着る自信を持っています。二万円だからといってスーツの機能に問題があるわけではないのです。結局、私は面の皮が厚いということなのでしょう。二万円だから臆する、ということがないのです。良いも悪いも飲み込んで、平然と着こなす。つまりスーツの値段や品質よりも、それを着る側の心が卑屈になるかどうか、という問題なのです。もし二十万円のスーツに袖を通さないと不安で仕方がない、となればそれは不幸な方でしょう。服が似合う、服がサマになる、これは服と人がひとつに溶け合ったときに起こるのです。値段が高い、安い、で一喜一憂している状態ではけっして服は味方になってくれません。理想を言えば、値段に関係なく楽々と自分のものにしてしまう強引さがおしゃれには必要なのです。また一般論としては次のように言えるでしょう。そのスーツをいったい何年ぐらい(何回ぐらい)着るだろうか、と考えてみる。もし二十年も着られそうなら、仮に二十万円でもそう高いわけでもない。一方、二万円でもTソーズンで終わりなら、高いものになってしまいます。結局、より長く着るなら多少の投資をし、短い着用なら安いものを上手に探す、ということになるでしょうか。

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