女のひとの場合で、一年十二ヵ月、三月毎にボーイフレンドを取り替えるという。大体三月つき合えば、相手の性質や何かがわかるし、話題性があんまり広くないのもわかるし、やめて別な相手にしようと思う。それで相談を受けたのだが、私が男のひとの方としては、あなたと結婚したいつもりで、いろいろあなたに尽くしたんだと思うと言った。そうしたら彼女が笑った。「そうですよ、この三月、私はお小遣いを使わないで、彼らにたかってばっかりいたわ」と言う。でも三月つき合ってみれば大体わかって、今度は他のひとにしようと思うという。大変美しい娘である。私は心配した。「あなたにふられたひとが、あなたの結婚式場に刃物を持っておどり込んで来たらどうしますか」。彼女は笑った。「そんな馬鹿なひととつき合っているつもりはありません」。彼女はやがてというよりも、やっと一人のひとに的を絞って結婚したが、その前に私に手紙をよこした。「ご忠告により、今まで払ってもらったお金をそれぞれ利子を上乗せして為替で送り、今後一切自分たちの新しい生活について口をさしはさまないで下さいと書きました」。誰も返事はよこさなかったと言う。金も送り返して来なかったそうだ。もうこの女とは、一切かかわりたくないと思ったのは、男たちの方ではなかったか。彼女とはこんな話もした。「でもあなた、男が変わる毎にだんだん下がっていったらどうですか。それじゃあ、前の方がよかったと思うことはなかったの?」。彼女は答えた。「私は下がった男とつき合うつもりはありません。前のひとより、いいの、いいのと探してつき合ってきた」。「それじゃあ、あなた、これからつき合うひとと三月経って、また別れるんですか」。「まあ、そのときになってみなければわからないけれども」。「いったいあなたを繋ぎ止めておく鍵はなんですか」と聞くと、「このひとのためだったら、このひとが貧乏でも私が働いて相手を食べさせてあげるわ、という気になるようなひとがいいと思う。でも今まで会ったのは、どれもこのひとの子どもを産みたくないと思うひとばかり」。彼女は豪壮な邸宅に入っているお嬢さんである。「小さなアパートなんか入る気はないわ」。それで「自分としては一番条件が悪い男、金も乏しく、学歴もそうたいしてない、そして経済的には自分の方が有利、優勢である。そういうひととは私は案外うまくやっていかれると思う。なぜならば、自分がみんな彼に代替してやっているから、その恩義に感じて彼は一生私に尽くすでしょう」と言う。そういう男を見つけたい、と言う。しかし結婚した相手は、優秀な技術者で、彼女の家と同格の富裕な家の長男であった。才媛で美貌で自信に満ちた彼女が、自分の優越感を満たせない男を選んだのは、彼女の自信を打ちくだくほど相手が優れていたのか。結婚後一年して一児の母になり、「やっと自分の生き甲斐を見つけました」という葉書が来た。